こんにちは!高校受験専門の個別指導 学習教室サクセス塾長の岩田です。
さて今回、「内申点」という言葉について説明したいと思います。
「内申点」ってイメージがちょっと先行した言葉で、“先生に従順で、好かれていれば点数が高くなる”とかなどの印象がつきまとうものです。
生徒会をすると内申点が上がる?
部活を辞めると内申点が下がる?
英検・漢検を取ると内申点に加算される?
部活でキャプテンをすると推薦がもらいやすくなる?
などその一例です。まことしやかに語り継がれているものは、もっと色々あるんですけどね…(^^;)
いわゆる内申点について、”都市伝説のように”(笑)噂されることが色々あります。
上に挙げたのはその一例ですが、
きっちりと兵庫県の入試制度に基づいて、これらの“噂”にお応えしていきたいと思います。
内申点とは、「先生に好かれているか」などが数値化されるものでは決してありません。
では何か?
公立の一般入試における内申点とは「通知表の数値」です。
あくまで通知表の数値です。いわゆる素行とは切り離して下さい。
例えば数学が「4」だったとか、美術が「5」だった、とかまさにその数値を点数化したものです。
ただ、状況別に考えないといけない部分もありますので、兵庫県のケースとして、以下のように場合分けしてお伝えしたいと思います。
(1)公立高校の一般入試
これが最もよく言われる「内申点」ではないでしょうか。3月の公立高校の一般入試では、以下の計算式によって、「持ち点」となって受験時に加算されます。
当日のテスト(50点×5科目)と同じ比率で学校での成績が点数化されます。
英数などの主要5教科は×4倍、美術等の実技教科は×7.5倍されます。これにより、個人ごとの内申点が出されます。
兵庫県の場合は、中3の1~2学期が点数化されます。
ざっとでお伝えするとオール3の子は「150点」、オール4だと「200点」となります。
(2)推薦入試・特色選抜
2月にある推薦入試や特色選抜入試でも学校成績(=いわゆる内申点)が加味されます。
ただ、(1)の一般入試の際のような計算式はありません。各学校の配点は基本的に非公開です。
ただ、一般入試の時のように、少なくとも入試の点の「半分以上」が内申点であると考えておいて間違いはありません。
推薦などの場合は普通、面接があります。
面接の際、生徒会活動や部活のキャプテンなどを頑張った経験があれば、やはり評価されますし、英語科であれば英検の合格級も点数化されている可能性もあります。
(3)私立入試
私立の合否は基本的に「当日一発勝負」ですが、最近は学校成績も“ある程度”加味するところが増えてきています。
各高校がどのような形で中学での成績を評価するのかを発表していますが、本当にまちまちです。
また上位校を中心に、学校成績を出願への必要条件として挙げている高校もいくらかあります。
たとえば、以下のような学校&内容です。
例1)関学B(自己推薦)方式
・中学第3学年2学期末の3年次総合成績において、9教科5段階評定の合計が36
以上の者
・生徒会活動やボランティア活動等、学校や地域で諸活動をおこない、学業との両立
に積極的に取り組んだ者。
・文化・芸術・スポーツなど自らの興味の対象を持ち、それに打ち込み、学業との両
立に積極的に取り組んだ者。
例2)報徳学園
・生徒会長:15点、3年間皆勤:15点、英検・漢検準2級:15点
・部活のキャプテン:+10点、副キャプテン+5点、3年間部活を続けた+5点
・5教科の内申点20点以上あれば入試得点に加算
例3)関大一高・専願A(中学校成績重視型)
中学校からの提出書類による国語、社会、数学、理科、英語の評定(250点に換算)と音楽、美術、保健体育、技術・家庭の評定(100点に換算)と筆記試験(100点に換算)の合計450点に、活動実績の内容に応じた評価点
例4)甲南高校(推薦入試(1月実施)では以下①~③いずれかを満たす必要)
①中学校時代に生徒会活動、クラブ活動、その他の活動で特に高い成果をあげたと出身中学校長が認めた者※その成果を証明する賞状・新聞等のコピーが必要
②中学校3年生の主要5教科の5段階評定平均が3.8以上(10段階評定では6.4以上)
③英検準2級以上を取得している者
こういったところもあります。
が、基本的には私立入試は“当日一発勝負”だとご理解下さい。
(4)まとめ
どちらかというとイメージが先行する「内申点」という言葉でも、状況が異なれば数値化の方法も異なります。(都道府県がごとに計算方法が異なります)
公立高校の一般入試では「部活を3年間続けた」「生徒会活動を頑張った」「英検で上の級に受かった」というのは数値化されることはありません。
だからといって、“頑張っても意味がない”などという非常に冷めた意見に対しては普通、誰も同意しないと思います。
2020年に向け今、教育界は恐ろしい勢いで変わろうとしています。偏差値一本だけで見ていく入試は確実に変わりつつあります。
コミュニケーション能力を見たり、何かをやり遂げる力や情報を活用する力を測ったり。
特に何かひとつの分野でよいので、やりきったという経験が評価されていく方向性は今、確実にあります。
あと、英検に関して言うと、英検等のいわゆる「外部検定」を大学入試に活用する大学が急増し、もはや一般的なことにもなっています。たとえば、広島大学では英検準1級を持っていれば、センター試験を満点扱いとしています。
英検3~4級ではそういった優遇は受けられませんが、3級を持っていないと、準2や2級には挑戦しようという気が沸いてきません。公立の一般入試には組み入れられていなくても、今取っている級がいずれ繋がってくる時がきますのでここは長い目で見てチャレンジをしてもらうのが良いと思います。
あと、雲雀、履正社、武庫女、百合学園などでも英検合格級によって、加算される仕組みなどがあります。
たとえば
・雲雀丘学園:2級:当日90点扱いもしくは当日点を比較し高い方を採用 準2級:当日80点扱いもしくは当日点を比較し高い方を採用
・履正社:(1)2級は100点、準2級は90点、3級は80点とし英語の試験と比べて高い方を採用、(2)4級以上点数加算
・百合学園:2級は30点、準2級は20点、3級は10点
・武庫川女子:準2級は10点加算、2級以上は20点加算
などです。
それはいわゆる“内申点”というかは微妙ですが、これまでの日常的な頑張りが点数化されることは間違いありません。