おはようございます岩田です。
さて、塾をしていると親御さんから色んな悩みをお聞きします。よく聞かれるものを可能な限りまとめていきたいと思います。まずは1回目。以下です。
●親の言うことを本当に聞かない
これは、親にとっての“最頻出ワード”と間違いなく言えます。
「親の言うことを聞かない」という歯がゆい思いをお持ちのお母様方に、まず耳の痛い大原則をお伝えしなければなりません。それは
子どもは「親の言うことは聞かない。親のやることはまねる」。ということです。
お子様は小さいときから親の庇護の元、育ちます。
言葉の意味も分からないときから、ずっと親の行動を見ています。欧米での研究によると、乳幼児は大人の行動に対して、なぜその行動をとるのか理由が分からない場合に、本能的に大人のまねをするのだそうです。そう考えると、親の行動の「善悪」などはそっちのけで、子どもは親を真似てしまうのです。
禅の言葉で「薫習(くんじゅう)」という言葉があります。「薫習」とは、布に香りが染み付くように、長い長い時間をかけて願いや思いが自他に伝わることです。
幼児の頃から子どもたちは、親の言葉や行動をじっと見続けてきています。まさに「薫習」という言葉で言い表せるように、ゆっくりとそして確実に染みこんできているものがあります。
そうして獲得してきたことは、そう簡単には取り去ることはできません。
家庭内で何気なく発している言葉や、行動は間違いなくお子さんに伝わります。良くも悪くも。
やってほしい行動を、親がやっているなら、その行為は実行されやすいかと思います。子どもにやってほしいことを親が一切やっていなかったら、子どもは違和感を感じます。
子どもに何かを言う前に、親御さんご自身がそれをやっているか、そして少なくとも家庭内にできる空気が醸成されているのか振り返っておく必要があります。
人間の五感による知覚の割合は、視覚83%、聴覚11%、嗅覚3.5%、触覚1.5%、味覚は1%といわれています。人間が受け取る情報のうち、8割は視覚からの情報です。
これは腹の底で理解しておかなければならない鉄壁のルールです。言葉として発せられた言語によるメッセージより、視覚を中心とした五感を伴って感じられる立体的な情報の方が、より理解度が高められ、実現可能性を引き上げてしまいます。
何かあった際に、親から言われる訓話的なことよりも、実際に日常的に親がやっていて、目の前に日常として見せられる情報の方がはるかに行動に結びつきやすいのです。
どこまで行っても子どもは親とは別人格を持った他人です。他人をそう簡単に変えられるものではありません。子に望む行動や思考を自分ができているかを問い、できていなかったら自分(親)がまず改める、まずはそれしかないと思います。