紙媒体 vs デジタル媒体 → 紙の方が深く理解できる!
最近の研究によると、「紙のほうが深く理解できる」という結果が出ています。この調査は、2000年から2017年にわたって実施された54本の論文、延べ17万人を対象に行われた大規模な分析から導き出されたものです。この研究はバレンシア大学の研究チームによって行われたもので、紙媒体の効果に関する重要な示唆を提供しています。この研究から得られたポイントは以下です。
◆制限時間内では紙が優位
時間制限のある課題では、紙媒体のほうが内容を深く理解できることがわかりました。一方で、自分のペースで読める場合でも、デジタルは紙に追いつくことはなさそうです。
◆情報提供型の文章は特に紙が有利
読解力を求められる情報提供型テキストでは、紙が常に優位。一方、物語のような文章では差が小さいようです。
◆デジタルネイティブでも紙が有利
驚くべきことに、デジタル世代であっても紙の優位性が増加傾向にあるとのこと。これは、「インスタントな報酬」を求めるデジタル特有の習慣が、集中力を妨げている可能性が指摘されています(浅化仮説)。
こうした結果を踏まえると、学習の場面では紙の教材を活用することが、逆張り的ではありますが、”効率的”と考えて良いでしょう。映像授業を受ける際などは、画面に頼るのは仕方ありませんが、それを元にじっくり考える際には紙媒体の方が断然向いているようですね。
手書き vs デジタル入力 → 手書きは記憶に残る!
もうひとつ、学びに関する興味深い話題を紹介します。それは「手書き」と「パソコン・スマホでの入力」の違いです。手書きには以下のようなメリットがあります。
◆記憶に残りやすい
手で書く行為は、頭の中で内容を整理しながら行うため、自然と記憶に定着しやすくなります。東京大学の2021年の研究によると、紙の手帳を使用したグループがタブレットやスマホを使用したグループよりも記憶想起において高い脳活動を示したことが確認されています。
◆考えが深まる
手書きでは書くスピードが限られるため、内容を吟味しながら進める必要があります。この過程が「考える力」を鍛えます。
◆創造力を刺激する
手書きは自由度が高く、自分の思考を図や強調で表現しやすいため、クリエイティブな発想を促進しやすいと言われています。
手書きは「スピードが限られる」という一件デメリットに思えるようなことが理解を深める要因にもなり得るのですね。何だか深い…。手書きの方が「書いた」感があり、記憶に残りやすいというのは、実感的に理解しやすいポイントかも知れませんね。「書き初め」も手を動かして、書くことに意味があるんでしょうね。
最後に(まとめ)
デジタルツールは便利で効率的な学習を可能にしてくれますが、一方で紙媒体や手書きがもたらす深い理解や集中力も見逃せないポイントです。これまで大切にされてきたアナログ的学習にはちゃんと効果が認められるのです。やはり、地に足着けたアナログ強し!
ただ重要なのは、学習内容や目的に応じて適切な手段を選ぶことです。情報を素早く収集したり共有したりする場合にはデジタルを活用し、じっくり理解したい内容や記憶に残したい情報には紙や手書きを選ぶ。こうした「使い分け」の意識を持つことで、学びの質を高めることができると思います。
一般論として、学年が上がるにつれてデジタル教材的なものを取り入れる割合が高くなってきます。しかしデジタルは万能ではありません。それぞれのメリット・デメリットを知った上で、上手に取り入れることで、今年の学びをより充実したものにしていきましょう!